意味
メンタルコントラスティングは、日本語では心理的対比法といいます。願望やそれが叶った結果のようなポジティブな未来を思い描いたあとに、必ず、現実の障害を対比させて直視する心理技術です。
対比は、二つを並べて見比べることです。未来の側だけ、障害の側だけを見るのではなく、両方を続けて置きます。
未来だけを思い描くと
成功した未来の心地よさをあらかじめ脳で味わうと、脳はすでに目標が達成されたかのように受け取って、満足しやすくなります。体はリラックスの側に傾き、行動のためのエネルギーやモチベーションが使われないまま減っていきます。
実験でも、望む未来を心地よく思い描いたときに、血圧が低くなり、本人の感じるエネルギーも低くなりました。
減量プログラムに参加した女性たちを一年追った1991年の研究では、成功した未来の自分を心地よく思い描いた人ほど、減量に失敗していました。最も成績が悪かったのは、自分で達成できる自信の根拠が無いにもかかわらず、成功した未来のポジティブな妄想だけに酔いしれていたグループです。
障害を先に見る
同じ研究で最も成果を出したのは、このプログラムで減量できるという現実的な期待を持ちながら、行動に伴う面倒くささやネガティブな障害を、あらかじめ直視していた人たちでした。
食べられないのは辛そうだ、このスタイルを維持できるか不安だ、といった行動時の困難を前もって想定し、失敗の原因を事前に分析して対策を考えていたから、必要な行動を続けられたのです。
脳が受け取ること
未来と障害が対になって初めて、脳は、障害を乗り越えるために行動と対策が必要だと、正しく認識します。だから、動くためのエネルギーが湧きます。
期待と空想を分ける
この研究では、期待と空想を分けて見ます。
単なる空想、妄想の類は、過去の行動や事実に裏づけされていない根拠のない自信のことです。たとえば、まともに楽器を弾いたこともないのに、ギタリストとして成功すると思い込み、行動のエネルギーを奪う心地よいイメージに浸ってしまう状態です。
現実的な期待は、過去の経験や客観的なデータに基づいて、これなら自分はできる可能性が高い、と合理的に判断することです。たとえば、ダイエットには失敗したことがあっても、部活や勉強で指示されたことを最後までやりきった経験があれば、監視役や指導者がいる環境なら成功できそうだ、と判断できます。
WOOP
メンタルコントラスティングを、日常で誰でも実践できるようにまとめた枠組みが、WOOP(ワープ)です。願望、結果、障害、計画の四つを順に書き出します。
いま思い描いている未来の隣に、現実の障害を一つ置くとしたら、何でしょうか?
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