辞めたいと何年も言い続けている職場がある。
もう合わないと分かっている付き合いがある。
引っ越したいと思いながら、同じ部屋の更新の書類に判を押す。
居心地が良いから、そこに居るのでしょうか?
すぐに頷ける人は多くありません。良くはない。それでも動けない。
コンフォートゾーンという言葉があります。よく「快適な領域」と訳されますが、炁-iKI-では外れると戻ろうとする力が働く設定された範囲という意味で使っていて、快適かどうかは関係がありません。苦しいままでも、そこが設定された範囲なら人はそこへ戻ります。
外れると落ち着かないから居る。
コンフォートゾーンは体温にも体調にも、感情にも行動にもあります。
毎朝同じ道で駅へ向かう人が、たまに一本違う道を通っただけで何となく落ち着かなくなる。職場や人付き合いのような大きなものも形は同じで、外れた瞬間に落ち着かなさという反応が出ます。
動けない人を押し戻しているのはその反応です。
ここで多くの人は落ち着かなさを消してから動こうとします。不安がなくなったら辞めよう。迷いが晴れたら引っ越そう。
炁-iKI-では戻る先のほうを動かします。辞めて別の仕事をしている自分や新しい部屋で暮らしている自分のように、目標を達成できている自分を先にコンフォートゾーンとして置きます。すると今の職場や今の部屋のほうが範囲の外になって、居心地が悪く感じられてくる。
今の自分は何年も過ごしてきた分だけ本当のこととして感じられますが、達成できている自分にはまだその手応えがありません。そちらの自分として振る舞おうとした途端に落ち着かなさが出て、いつもの自分へ押し戻されます。
だからこそ一息入れます。
この一息は、落ち着かなさを鎮めるためのものではありません。さあ、今日もやるぞ、と机に向かう前にひとつ吐く、あの息です。鼻から吸って口からフーッと吐き、達成できている自分の振る舞いを、今日もひとつ選びます。
ここに我慢や頑張りは置きません。辞めたあとの自分、新しい部屋の自分が本当のことに感じられてくるほど、しなければならないから動くのではなく、やりたくて動く側へ寄っていきます。今の場所の居心地の悪さは、その向きに押す力です。
移った先がいつもの場所になれば、そこが新しいコンフォートゾーンです。